イエローダイヤ・マン《標榜編》〔317〕もしも結婚を計画し、しかも自分の理想の人とすでに出会っていたのなら俺はこの勝つカレーをご賞味することをまず念頭に置く。実は俺はすでに食ったのだ。夏の暑い日だった。スパイス全部掛けてそのときは大判振る舞いでたいらげた。理想の人とまだ、知り合ってもいないのにそのカツカレーを食ったのは縁起を担ぐのは早い方がいいとそう判断したからだった。お値段は650円。しかもカツもそこまで厚くはなくてそれが上品に思えた。結婚も同じで余りに顰蹙を買うようなことは避けて通りたいし、欲望剥き出しっていうのは最も嫌われる。特に淑女の扱いには気をつけないといけないし、彼女たちの頭で陣頭指揮を執って今あるのは理想の家庭像。周囲の人々にも目を配るし、友人や親戚筋まで事情察知を張り巡らす。どういった環境にあったかは本人以外の周りにいる人々でほぼ見当がつくからだ。俺はほっともっとのカツカレーで勝つ彼!!になれるように夏の八月、すでに猛特訓をした。熱い車内で冷房もつけず食べ尽くしたからだ。そして家の冷蔵庫の野菜室に残っていたステーキコンボのタレはファミリーマートの冷凍ハンバーグをチンしてかけてみたらこれが美味しかった。使い回しが出来るタレの巧妙な立ち回りを暗に伝授したい。それはTPOよりも実は役に立つ、人生に於けるレシピにも相当するのだ。