イエローダイヤ・マン《標榜編》〔291〕必ずホームランが出るバットを持っている選手がいたらばこれは凄いことになるだろう。二点差ならふたり出た時に打席に立たせ、あと一点でいいならすぐさま代打起用。そういうゴールデンバットがこの世に存在するのなら俺も欲しい。しかし俺の場合したためる方での魔法のペンになる。そういう必ず人々の心をトリコにしてしまう書法や話法がこの世に存在するのなら誰だって手に入れたいしこれが夢なのはわかっていてもあのヒルなんかの記録を待っているときには効能を博しただろう。恐らくあのときのホームランこそが値千金で、千両役者と呼ばれるものだった・・・。ものをしたためる我々もそういった魔法のペンをいつも心に描いていてそこは大リーグのバットと同位。しかしとことんそこを思うときに俺は切なくなる。必ずホームランを打ち出すゴールデンバットは争奪戦になって醜い争いが展開されてしまうのでは?そこでの闘争的被害や心の憔悴を考えるとやり切れなくなる。やっぱり人生ほどほどがいいのかもしれず俺は心の螺旋を締めなおす。各人に生まれながら〔分〕ブンというものがあってそこは動かないからだ。ブンを是非英訳でも覚えていたい。