ルビー・ウーマン《ロイヤル・ボックス編》〔199〕もてる女性がいて、彼女の光の影にあって、もてない女性はくすぶるだけでは面白くない。キャロルは徹底的に彼女の心の解剖に挑みます。横浜から帰った彼女は無口になって、まだ恋の傷あとが癒えないのか以前に比べはちゃめちゃ度は減ってはいたもののコンポンは変わりません。後年、私の恋愛はまるで、あの二十二歳の別れのように気持ちよく終わった・・・という台詞を聴いて驚くのです。自分の体験が流行歌の歌詞の通りで恐ろしいほど似かよう楽曲の存在を伝えてくるのです。そういうことが歌をどんどん世に浸透させるし、その反対も言えました。彼女はあの歌が流れている間、横浜のことを忘れることは出来ないということでキャロルはその時・・・歌と歌詞の絶妙なる主従関係を思うのです。歌だけでもついてけない、しかし歌詞だけでは伝え切れない・・・。彼女は五十一歳になったキャロルの前に三十年ぶりで現れます。うどん屋のカウンターの中に立っているときでした。のれんをくぐって彼女が私を見てすぐさま気が付いて嗚咽を漏らしたことを忘れません。普段は全然連絡を取り合わなかった二人がなんと店の店員と顧客として三十年後、ふらり出会うのです。彼女は体を壊して以前よりもっと傷ついていました。でも私キャロルを恫喝するのです。人間くすぶったらいけん!!ってね。