サファイア・マン《かけがいのない男編》〔139〕うちのマンションを通るたびに羨ましいと思ってたなんて・・・とキャロルは心中穏やかではない興奮を持って彼女の言動をチェックしていました。恐らく自分の苦悩など彼女は知る由もなかったろうし、お互いの境遇をこれ以上は話さないこともポイントかも?と最初は躊躇する気持ちもあったんですが、そこを打開に持ち込む彼女のポジティブさ・・・。ああ、こういうものなのかなあって。ポジティブが強豪を作ることの枠組みが彼女本体にはすでに含有で、こんな小さな悩みなんかはいとも簡単に解決に向かわせる力があるのでは?と。生命保険の仕事の外輪にそっと触れてみたい感触は好奇心。彼女の言動にはセールストークがあって、それにいちいち乗ってはいけない・・・との気持ちよりも、遥かに興味本位な気持ちに君臨されるのです。どんな日常を働くお母さんは過ごしているのだろう・・・。子供達を預けて働く?それともおばあちゃんに預けている?ひとつひとつが自分に関係があるように思えてくるのです。カウチに横たわり、赤ん坊の世話をしつつも瞑想に耽るのです。お互いの固定電話を教えあい、当時は携帯電話はないですから、すべて固定が役割を担っていたのです。彼女は帰り際、またここを通ったときにお寄りしますね?って。親友の季節が来たんだな!!って福岡に来て初めての歓喜だったのです。