ルビー・ウーマン《ロイヤル・ボックス編》〔194〕本に囲まれた日常は家でも同位で、父が古本屋で収集する癖があったので、アルバイト先にも本だらけでキャロルは自然とそれについて自分の中で討議済みだったといえます。父が薦める本と自分が好きな本の落差です。音楽関係の本を片っ端に読むこともない自分が、どこで父と線を引いたか?そこに物事のロジックが存在で、父の理想とする現世とキャロルの理想とする現世が違っていたこともあり、父の理想に沿っていけば、それはキャロルにとって、まやかしや、あやかしに過ぎず、かといって自分の理想を追求強行すれば、無残な結果を炙りだしてくる・・・。未熟が為せる業ですが基本こう捉えていたのです。人の本を感動しながら読んでいる自分ではおぼつかないということで、出来るだけ取り払いました。自分が持っているモノマネ術が怖かった・・・。読む事から遠い位置にいれば、自然に生み出されてくる時間があって、それに疎い父から学んだのかもしれなくて、自分の近い場所で起こっているすべてを感知し、出来るだけ父の生き方を習うことはないように位置付けたのです。思えば父は現実逃避したような人・・・なんの言論を妻にぶつけることもなく、いいえ、そこには語弊もあります。父は身近な母をも結果的に説得出来なかったような人・・・そこは反面教師だったのです。