サファイア・マン《面白い男編》〔133〕私と彼が夫婦でその二人の間に子供達がいて、生活そのものが成り立っているのに、全く別の自己と自我を共有せざるをえなかったことで、新しい自意識も芽生えて来ます。彼の温度と自分の温度の両者適温は一致とはならない事実で、彼はしばらくは自分のやり方を通す所存でいることが明瞭でした。今でいうとキャロルは打つ手がない状況、しかし仕事だけは次々に控えている毎日で、息つく暇もない育児と家事の合間で、存在の未処理についてを思いあぐねます。しかしそれを考えまい!と意欲して忘れてしまう時間も当然あったのです。それは不思議な相関関係で、彼を思えば思うほど、くやしさはつきなくなってきて、彼がどうでもいいと突き放つと問題は収束の方向へいく。そして究極は、問題の解決にはどんなに自分が考え込んでも、拉致が開かないことが飲み込めたときです。結婚して暮らしの安泰を獲ようとしていた自分の姑息さや真の狙いに佇みます。この結婚は、ある程度計算が含まれていて、彼のキマジメさを評価しつつ安定と言う基準をクリアしての歩みだった・・・信じる者が救われないのなら、信じること自体もはや違うのか?こうして疑心暗鬼のみ自分に与えた結婚を憂慮しました。