サファイア・マン《面白い男編》〔126〕後年になってこのときの心境を息子に聞くと彼は考えながら言葉を選びながらいうんです。ひらがなが大切なんだなあ!って必死こいて覚えた・・・と解答するかと思いきや彼の言葉は違うんです。真っ暗な押入れで随分遊んできたけどその時ばかりは恐れ入った・・・何しろ押入れから出るときテストがあって、ひらがなを覚えているかいないか、一目瞭然、だから嘘をつけないから覚えたっていうんですね。そして第二の理由がカワイイんです。兄弟たちのもとに早く戻りたかった。みんなと一緒にいることがどんなに大事かわかったって。なんという依存心でしょう。いえ、これは組み替えれば協調心で、キャロルは母の功労を思うのです。短気集中させみんなの学力に近付く努力をそこで目一杯やらせる。キャロルは夫に構いすぎていたしそれこそ忖度です。しかし考えてみればそこまで忖度したのも厚生年金加入への道を開かんがため、しかしもしも自分が教員などをしていればそんなに彼の厚生年金をあてにしただろうか?との懐疑も芽生えます。自分が自立してないからこそ焦った。そこから見えてくる物事の本質はあって、しかしそれゆえ、この問題はひとつ、スルー出来ないミッションを提示していることに今更ながら気が付くのです。