サファイア・マン《かけがいのない男編》〔126〕主婦だって、たまには休日が欲しいでしょう。母は特にそう思います。このハイツにいると一日中せっかちになってしまわざるをえないトットコ鼓動にさいなまされ、なんでこんな結婚を娘が選んだのか?本当に将来安泰なのか?段々と不安になってくる。そして三月は終わりになっていこうとする頃。今度小学校入学式を迎えるという長男に字を書かせてみる。会話は順当に出来るけれどま・さ・か・・・全く書けないのです。ひらがなと数字100までは全部出来ることが母の最低ライン。一気に教え込もうとします。それでも時間がないことにも気が付く。入学式まで十日を切るのです。まず病室にいって娘に言いたい訴えたい気持ちになる・・・。なんでこの子をちゃんと見てないの?とても大事な小学校入学時。それを娘は、今の亭主に忖度することで、自分の全力を投入して、この子のケアをおざなりにしている・・・。教えても教えても全然覚えようとはしない長男に母は匙を投げるのではなく、押入れで勉強させることで様子を見ます。懐中電灯付きで、ひらがなを全部おぼえさせようとしたのです。しかしこの強硬路線を真似してはいけません。母は完全無欠のお嬢様育ち、自分も教育者だった・・・職業的勘というべきで、この時のオシオキは長男を短期成長させ時短教育成功へ・・・ほろ苦いけど快挙でした。