ルビー・ウーマン《ロイヤル・ボックス編》〔172〕ある日の午後のことです。お互いの意見を交換し過ぎて、まさお君と大喧嘩をしてしまう。キャロルにとっての意見など当時、中々出しにくい状況だったといえます。なぜなら、家出して彼の親戚の御宅にお世話になっていたからです。しかしその時に、余程お互いが勘に触る討論を展開してしまったのでしょう。彼は激しく激昂しなじるのです。自分は精一杯頑張っているはずなのに彼はそれを観ようともしないのでは?途端にお互いが相手を見る目が猜疑心に変わっていき、キャロルも爆弾発言をしてしまうのです。長崎に帰りたい!!彼はその態度を見て、さらに怒り、勝手にすればいいじゃないか!と。タクシーに咄嗟に乗ってしまったキャロルはわんわん泣いてしまい、運転手さんは優しい人物だったのでしょう。話の出来る、静かな場所にクルマを移動して、これまでの経緯を聞いてくれるのです。そしてアドバイスをくれるのです。ここまで聴いて、あなたのご両親にあなたの居所を伝えない人が果たしているでしょうか?今すぐにでも家に帰り両親を安心させてやりなさい!!キャロルはそれも範疇にはあったのですが、もちろんまだ、帰ることなど出来ない。まさお君を真剣に愛すればこそでした。感情が理性を大きくリードしている現状を運転手さんが紐解いてくれたのです。