サファイア・マン《面白い男編》〔113〕上司のアドバイスも結果的に聞き入れず、そういうシゲルちゃんが一回だけ、まだ、子供達を長崎から引き取る前になりますが家に連れてきたことがあって九月も終わりぐらいだったでしょうか。気さくな同僚たちで、どちらの方も祝福してくれるのです。これまで、独身だったニンゲンがようやく家庭を持ったことを手放しで喜んでくれて、そのとき、同期といえる彼らが早く会社に届けるようにとしっかりアドバイスをしてくれるのですが、それに頷いてはいても結局なんの進展もなく、キャロルは初の人材に戸惑っていました。この世の中にいるということです。妻の言うことにも、上司のいうことにも従わず、ただただ、世の情勢が変わることを念頭に動く人間です。すべてが彼の手の内にあって相当もどかしさを感じました。この憤りを父など、軽く交わすのです。まだ、世の中がわかってないからそういう考え方しか出来ないとやんわりとキャロルを責めるのです。ふたりのコブ付きを貰って頂いたこと、そのことは誰が考えても神のさい配ともいえるご加護なんだぞ!と。父への反発は相変わらずで、全然キャロルは自分が成長していないことを感じるのですが、待てよ・・・とも思うのです。これまで、父に確かにお世話になってきたが、ここで譲歩して夫を許すことが果たして正しいのか??との強い気持ちですよね?そういった親子でも踏み込めない重要な場面に来ていることはマチガイのないこと、若い三十代に入ったばかりのキャロルがとことん悩んである決断を下したのです。