イエローダイヤ・マン《標榜編》〔5〕職場の権限で俺は今週のキーワードという部門を任せられていてそれで四苦八苦していた。どういう業界のそれが出て来るかで、他社と凌ぎを削っていて、中学入学から盛んに集めたヤンキースの帽子が懐かしくなるなんて言ってられないくらいに追い詰められる。大リーグのことなど存知あげません!なんて言ってたら大変なことになるのでそこは美容業界に進んだ同窓に絡んで売筋業界用語を聞き出すというありさまで何とか今もクビにならずにここまで来た。家族のお蔭もある。今年はまた焼きカレー、しかも牡蠣入りが流行るわよ~とかショートメールで送ってくる。ドリア牡蠣入りをどこかで食べたに違いなくてハート型の陶器と粉チーズもお忘れなくってかまびすしい。こういう応援団も重宝する。姉がいたことで俺は家を継ぐという難病からは逃れられた。俺は剣道も柔道も全然ダメだったし嫌悪感すらあった。大好きなのはバスケットで中学高校と邁進した。俺は姉がいなかったら?と思うとぞっとするが姉も変わり者でナナハンに乗れるということでグラっと気持ちが傾き交通警備隊所属だ。マラソンを牽引する姿にぞっこんとなった口で俺の家庭もかかあ天下だ。俺は郷里には帰らない。滅多なことでは・・・定年退職した父が掃除機のヘリで突かれている姿など余り好ましいものではない。