こんなに凄いものなのか?ショーウォルター監督の年齢を見てキャロルは驚く。まるで慟哭に近かったろう・・・。なんと監督とキャロルと同じ年齢。しかも随分長く監督をされていて、四十代で監督になるということが今の流行とばかり思っていたキャロルのあてが外れた。四十代で監督になって今も継続している監督はざらにいて、とても興味のある生き方だなあって共感するのだ。選手たちと同じ目線に立って物事を見る癖が付くいい面とは裏腹に、勝たなければならず、その鬩ぎは顔にある時、人相となって現われる。キャロルの顔は競争社会を生き抜いてきてないからホンワカしている。どこかあけっぴろげ。長崎弁でいうとパッパラパなのだ。しかし実はこの監督が最初は七十歳に見えたキャロだ。戦い抜いてきた男の風貌は小柄でも威厳に満ちる。キャロは自分が大きく思えた。戦いをしてきていないということは未曾有の財産だからだ。