俺の女房は最高のポンコツ車で、もう走行が六十万キロと思って萎えてしまうか?それとも六十万キロ走っているものの、まだ、故障も乗り越え達者にも隣りの隣りの又その隣り市を走っている、なんて不埒で素晴らしいのだろう・・・と思うか。前者が俺がかつて思って来た路線だ。しかし彼女は変わった。いいものはいい!!駄目なものはダメ!とはっきり口に出すようになった。これまでは和を重んじ、言わないことがあったが最近は違う。いいものは私が決める、劣るものには改善を言い渡すって獰猛なのだ。彼女がある地点に来て開き直ったのは俺も気が付いていた。彼女を厳しく叱ったことがあった。俺がせっかくアドバイスして入れ歯を作ったのに彼女は付けなかった。一ヶ月もしないうち入れ歯は合わなくなってた。彼女は入れ歯にがっくりして暫く付けられないで居たという。しかし再度歯医者を訪れて、聞いた言葉に愕然とする。歯が動いてしまうことを彼女は自分の耳で知る。口を酸っぱくして俺は彼女に付けろ!と言ってたのに彼女が付けず、自分で墓穴を掘った。作り直して初めて俺のアドバイス慎重に扱うようになった。デルスカイしておこう、人生の先輩眼力だ。