サファイア・マン《かけがいのない男編》〔96〕新天地での生活は上司がきちんとお膳立てしてくれたもので、逆に上司の方が温かい配慮を持つ事にどこか安心感を抱いているキャロル。そこで住む人員は親子三人。生後六ヶ月になろうとする彼との娘がいました。上二人の子供を実家に任せて来るのには相当の覚悟や心配はあった。しかしそうは言ってはおれない場面でした。初婚の彼がバツイチの自分を伴侶に決めてくれて入籍。大きな期待があったし、いずれ、上の子供等を呼び寄せようとの気持ちはどこかにあったかもしれません。この前、松本清張の半生の記を読んでハっとしたのはこのときのシゲルちゃんが出征する兵士のような気持ちでいたことに今更ながら気がつく。彼は博多行きの列車に乗っても違う車両に行ってしまうのです。一体何が起こったの??とキャロルは訳がわからないんです。彼も言いにくかったんでしょう。転勤で上司が去っていくとき、自分達は上役を駅まで送って見えなくなるまで静止していたって。そ、そんな馬鹿な・・・家族の心を反故にして、はたまた、傷を負わせてまで、違う車両にまで移り座って、部下が現れるかも?に対処した彼に幻滅を抱きます。この結婚前途が危ういのでは?と直感しますが思い直します。何かの手違いよ、きっと彼はいいパパになるって。