俺はもう少しであいつによって詐欺に遭うところだった。入籍三十年の記念に福沢諭吉をせがまれていたのだ。もちろんワン枚だ。コインとはいえないこういった紙幣はなんと言うのだろう。とりま福枚といっとこう。三十年か・・・それなら五千円くらいは渡してもいいかもなあ・・・となって気が付く。待った!!が掛かる。逆算しながら記憶を手繰り寄せる。確かに知り合って三十年だが、入籍して二十九年だということがワカル。良かった~~と俺は胸を撫で下ろす。そしてそのことをあいつがまだ気が付いていないということにコレマタ気が付く。数字に疎いあやつは見た目はあざといものの、全然違うことがあって、この一件が物語る。俺は待てよ・・・と自分にさらなる探りを入れる。事実を承知であいつに騙されていいのではないか?福沢紙幣を渡すのも俺にラッキーが舞い込むことに、繋がるのではないのか?デルスカイしておこう。福澤私兵である。