ルビー・ウーマン《ロイヤル・ボックス編》〔148〕そこでもキャロルは多くのビジョンを自分の中に描くことで、多彩の裏にある唯一を選ぶ意義を認めていたし、彼の希望も曖昧で、一バンドマンにも水準があることがキャロルにもわかっていましたから、突き詰めてふたりが話すことが日常的に行われていて、それでも当面はお金を稼ぐことにいそしむこと・・・それを言うと、なんだか現実が襲ってきて、マスターから言われたことを実行出来ない彼はやがて弱気になっていき店を辞めることになるのです。ふたりの意思を強靭にしていく場面を残したまま、キャロルはアルバイトに頓挫してしまいますが、また拾ってくれる場所が見つかってその地下にあるレストランに勤め始めるのです。レストラン茶茶です。ここはお座敷があって靴を脱ぎ、鉄板を運ぶときに往生しそうになりますがお金の為だ!と頑張ります。ヘタレに観られたくない!という大きなスタンスがあったからで、いさぎよく喫茶を諦めて、ひとりで茶茶へ通う自分がやがてはまさお君から逃げ出すことなどその時にはまだ想像もしてないのが若さですよね。若気は必ずいたるし、裏切りますが、その行動も勇気に満ち溢れ眩しくなるのです。