サファイア・マン《面白い男編》〔90〕美知は歌人とはいってもそれで生計たってるわけではなく公立幼稚園勤務でお茶の作法を習うということで、茶道教室で母と友達になっていたのです。母はとんでもない性癖の人間であることをまだ、美知の前で隠しています。母にはどうしようもないファザーコンプレックスがあったのです。完璧に近い父親像を描ききり脇田大佐がこの世の人ではなくなり、母キミもやがて亡くなり天涯孤独になって初めてしみじみ考えるんですね。親友達も次々結婚して、清水さんという親友も独身貴族バリアから消えていく。同胞達が拘ったのはやはり子女教育です。清水さんは息子を医師にし、小山さんは娘を音楽家にしました。余りにレベルが高い話ですが母の周囲は極端でした。今晩家出するから金を貸せ!といってくる友人がいるかと思えば、長い時間を掛けてワインを醸造するような子育て族です。母は何を精神的理念としていたのでしょう。この結婚で夫が再婚だったことや子供を失ったあげく前妻はお暇を出されたことを知る。母は仔細をほぼ知らせなかった妹の美知とも一線を画しています。タヤにとって、新人類そのものであった母は、天敵以外の何物でもなかったものの、息子の力をどこかで信じます。ニッポン女子何するものぞ!?という気概です。