いきなりだった、コンビニをもう辞めたい!って俺に漏らしてきた。キャロルのような人間はやはり集団に措いて吊るし上げの対象になるのか?それを思うとちょっと不憫ではある。しかし一ヶ月前に言わないと辞められないから三月まではご奉公する積もりでいるのだろう。今日はキャロルとの最初のコドモを授かった日だ。長崎では珍しく雪が降り積もって何日か溶けなかった。俺はお見舞いに一度も行かなかった。結婚してもいないのに子供が生まれること自体、非常識でそれがどうしても許せなかった。自分が許せないし、キャロルのこころの思いや労苦が理解出来ない若輩ものだった。出産に立ち会ったり、育児休暇を取る行員をおれはよしとはしてこなかった。大リーグでも妻の出産に立ち会って休みなどというテロップ出れば俺は異議を投じたくなるし、元々そういう輩だ。女コドモは俺たち男にとっては二の次。そういう古式ゆかしき方法で育てられた。親父は体罰も辞さない明治生まれの厳父だった。俺は自分の考え方では二十一世紀は通用しないし世界枠も取れないこと今ならばわかる。しかし西暦1987年、20世紀のあの頃日本はまだ昭和だったのだ。デルスカイしておこう~セカイワクだ。世界中をワクワク震撼させること。