俺は昨日だけはいかんともし難い衝動に衝かれる。大村の乳児院に一年六ヶ月過ごす間に、三歳と二ヶ月の孫カイトが先生先生と次女を呼ぶのだ。仕方ないわよ、先生と過ごす時間の方が長いから・・・と次女は言うが、俺はそういうのは大嫌いだ。何が何でも答えさせないといけない。面会時間一時間の間に俺は何度もお母さんは?ママは?とカイトに尋ねた。やっと時間切れの頃にママは??と俺が訊いたとき孫は次女を指差して抱っこ~~って甘えてきた。子供なりに自分を我慢しているのだ。一緒に家に帰れないから、そこをわかっていてセーブしていたのだ。なんともやり切れない気持ちになる。俺の年金年収が三百五十万円。これでは孫ふたりを返してもらうことが難しいのだろう。俺は確かに無職としたためるたびに悲しくなる。今朝も保証人の欄に記入するとき悲しかった。キャロルがまたバイト決めてきた。ダブルパートにチャレンジするのだ。俺が今、出来ることはこの状況を見守ることだけだ。生まれて四日で引き取られた幸葉にはもちろんわからない。次女が母親であることが全くわからない。デルスカイしておこう。オーガスト雪風の力もこの際必要だと俺は思う。幸運艦、雪風にちなみと八月に生まれたから幸葉と命名されたのだ。