サファイア・マン《かけがえのない男編》〔62〕話は突然タイムトラベルしますが小学校三年時くらいに姫野真紀っていう女の子が近所に転校して来るんですね。キャロルは表札をまず見に行く。姫野で間違いない。苗字に姫なんてとても可愛くて自分のペンネームには是非これをってなる。真紀ちゃんはすぐまた転校していなくなるタイフーン児でしたがその育ちの良さから来るブランド感をキャロル後生忘れなかったんですね。ここ数日、考えていたのは、島流しという言葉に訴力あるっていうことで、あの十六歳だったキャロルが何かを訴えたかったんだ?っていうのはみんなもわかるし自明。そして憂鬱な日々は少し違うかな?って。この難しい2文字をキャロルは自分でしたためた記憶がないし、まさか文学少女キャロルに平仮名登用はありません。まずないことがわかるのも記憶障害を解く手掛かり。なんて書いたか記憶はないが、書いていない語群はわかる。憂鬱とは書いていない、そのときの行動、物を書くという行動にキャロルがどれだけ真剣に取り組んだか?そうです・・・自分が心血注いだ行動や言動は、記憶障害域から遠い場所になる・・・つまり保管場所があって、そこを突き止めれば記憶障害を防げるという朗報です。