ルビー・ウーマン《黎明編》〔117〕この2015年を振り返って脇田大佐はどんな感慨を?俺にとっての驀進の歳でしたね・・・俺は十月一日生まれ、それを孫の容子にわかってもらえた、そこが元本だと思うのです。それはしかし奇妙だなあ。十月一日に生まれたお前を容子が知らなかった・・・これだけ新聞に投稿して一万枚の原稿を新聞社に送ってきた容子が脇田大佐の誕生日を知るのにそんなに時間が掛かったとは?それもこれもパソコンの発明のお蔭です。俺も驚愕だよ、ニッポンが進んできた戦後の航路は今、光で輝いているな?俺もそう思います。2016年をあいつはしっかり奪取するでしょう。もしかしたらこれは聞きにくいことだが運命決定論の法則でそのことは既に生まれる前から約束されていたのでは?いえ、そこは勘弁して下さい。何しろお前が海軍少尉候補生になった日にあの娘は生まれている・・・余りにも符合が過ぎて俺はおかしくなりそうなんだ、しかもお前がレイテ戦という最後の命を受けた日があの娘の生まれる前日。いいえ、神の子ではありません。本当なのか?俺にはあの子がそうではないのか?とすら思える。神がよこしたならあいつにはもっと理性があったでしょう。あいつは神が創ってはみたもののワガママだったから現世へ送られて来たんですよ。