サファイア・マン《面白い男編》〔57〕ここで平常心を失って、落ち込んだりはありえなかったし、老舗教育一家という看板もありました。家はほぼ教育者で埋まっていたのです。考えてみるとこの受難が教育一家を襲ったということがことのハジマリでキャロルはあの担任だった生物の教師を思い出していたのです。アタマが悪いのに勉強しない、これでは悪循環の極みというものだ、悪循環の意味わかるか~?キャロルは自分を立脚するためにも、遠い将来になってもこの言葉を忘れまい!とそう思ったくらい。つまり文系に数学は必要ない!ってどこかで突っぱねた。しかし今どうでしょう。このパソコンを生み出したのは理数系です。とてもアタマが上がりません。それに春休みの電話のヒトコマがキャロルのこころを浮き浮きにしていたのです。東高のときのクラス会をやるから来ない?ってヤスベイから電話があってたことです。なんで・・・このタイミング?罠では?キャロルは冷笑の渦に巻き込まれる自分を想定して行かないと断りましたが、後から思うと行けば良かったなあってそう残念に思うのです。島流しに遭っても明るくみんなの人気者で社会に出てミゴト応戦している仲間も多いのに、キャロルは意図的に社会と離反したのです。作家としてモクロミがあったからです。