サファイア・マン《緻密な男編》〔45〕詩歌を愛する知識層が是非とも必要でしたが、そういった試みも充分挑戦済みの26歳のキャロルでした。知名度があれば本は必ず売れる。それなりの高級読者、清貧読者が自分の前の長椅子に座って発売日を今か今かと待ってくれる。キャロルの挑戦は地元の詩人グループに属して小冊子をあちこちに置いてもらう事でした。若い頃に味わったこの布教活動まがいの情熱が今もくすぶり、なんとか情報気流に乗れないものか?とジタバタしているっていうのも本の世界が伝統を保っている証拠。つまりニッポンの書籍業界は確固たる地位を刻んでいるという嬉しい暫定。例えば病院七階の書籍コーナーで百田氏のボックスを見つける・・・果たして何日あるかをずっと見ていると、昨日もう在庫ないんです。こういったムーブ本は佳い意味でのてかりもあって興味をそそられる。今が旬の作家冥利~こういうすでに多くの読者がついている作家の場合を除いて、出版社は火の車、おいそれとは消火器なしで乗ることは難しいといえるでしょう。キャロルは地元東長崎の支所で父がお話をきかせる幼児の部屋を受け持たせて頂いた時にも、実は出向くことをしていない。クール過ぎますよね~自分の子供達に読み聞かせをしたいと動く母ではなかったし父もキャロルが遠いことを理由に断った時、断腸の思いが頂点まで来た顔でしたね。