サファイア・マン《かけがえのない男編》〔40〕パーティ券の準備は十月中頃から行われ、確か一時間半でボトル付き飲み放題で9800円の破格でした。ウィスキーはニッカ。パーティ券は、こういう枠組みでした。売り上げによって割り当てが決まっていたのです。まだ、顧客を持たないキャロルにも十枚割り当てありました。それは丸丸給料から引かれるのです。二ヶ月間に渡って二回払いで・・・。だから現金で売るホステスも多かったのです。最後に余ったりしたら、得意客にご馳走するホステスもいました。なぜなら利用期間が決まっていたからです。キャロルは結婚式を挙げて幸せになったエイミーを呼ぶことにします。もちろん旦那様になる方も一緒に。エイミーはすぐに旦那様を連れて駆け付けてくれました。ちょうどイブ・・・。そして心配していたような店ではなかったとヒトコト言いました。それでも彼女が心配したのはキャロルの離婚のことでした。離婚するのは避けた方がいいのでは?という堅い律儀な意見だったのです。エイミーは命の恩人であり親友でした。千葉に長く住んで都会的になった彼女と再会出来たら嬉しいですね~あの長崎大水害のすぐあとに、キャロルは家を訪ねお母様に素麺を届けたのです。とても喜んでくださって、何が何だかわからない当時の究極の中でこう言われたのです。食べ物を頂くことが一番助かるわ・・・って。エイミーの旦那さまは寡黙でダンディで若者にしては渋い落ち着きがあったことを記憶しています。どんなことがあってもふたりが永遠なように、壁掛け時計を結婚のプレゼントに送りました。夫婦でパーティ券を二枚消耗、これは実のある使い方でした。お金はもちろん頂きませんでした。