ルビー・ウーマン《黎明編》〔88〕容子の孫の運動会は圧巻でした!俺も観ていたぞ、そして容子は気が付いた。あのことですね?ええ、長崎えほん風土記の本当の功労者についてです。その保育園の詞を作った人物の名前を見て、容子はとうとう思い出したんだ・・・。西川で始まる時代考証を受け持った人物。計らずもその保育園歌の作詞者を偶然見て、思い出すことになる、運動会のプログラムによって。容子は、父である和田貞彦が確かに文章を編み、文責を担い、あの長崎えほん風土記を完成させたが、西川先生の歴史考察的アドバイスが大であったことを、容子自身はすっかり忘れ去ってしまっていた。そんな愚かな自分に気が付いた。その事が容子の成長を相当分に促したのだな?もちろんです、一冊の本が完成を見るときに、題を文字でデザインするスタイリッシュマン、そして表紙を手掛ける画家。中身の文章を達成させる文筆者。そういう人々のもとを回り、父がお世話係を務めたことを改めて思い出して当惑したのです。意外にもそういうお世話係に堪能なる父の違った側面・・・そこに法外の喜びを禁じえなかった。それは佳い事だ、何しろえほん風土記のひとつひとつの動脈と静脈には、長崎の歴史が雄雄しいくらいに流れている・・・俺も感動しました。容子の視線はナニモノも逃さない鋭いものがあって興味深いと。それにしてもアメリカで尊い人材を失ったものだ。あのビューティフル・マインドの学者ですね?ああ、人生ではいつ何が降りかかるかはわからない、だからこそ日々を有意義に生きなければ・・・。おっしゃる通り、ミートルゥーです。