まるみつの創業者、いわゆる、樋口謹之助氏だが俺は会ったことがある。人物家だった。そのひぐちでの三月分の妻の給料が出た。一万八千四十円。三月も確か六日くらいからの勤務だったし、研修期間は一日2時間、土日が3時間いくときもあって、その一万八千円のうちの六千円を妻は俺にくれた。もちろん俺は四月年金日にキャロルに一円もやらない。せっかく自立を決めたキャロルの気持ちを大事にしたいし、甘やかすことが本人をダメにする。妻の父とひぐちの創業者。同じ矢上村出身者でも、金銭に対する構えが両者は違っていた。溺愛といえる程、妻の父は子供に甘かった。この金銭呪縛原理が、恐らく教育一家のおちこぼれ姉弟を作ったのだと俺は観ている。