ルビー・ウーマン《黎明編》〔78〕賭けをやらないか、脇田大佐。ええ?どういったことでの賭けですか?もちろん容子が社会保険付き夜間パートの座を勝ち取るか否か・・・。俺は正直半々ですね。俺も半々だ。容子の脳裏は近所のファミリーマートのご主人が映っている。俺にも見えます。最期はあのご主人に泣きつこうとしているのかもしれんな・・・。しかしあえて俺は、射止める方に賭けたいですね。先を超されたな、俺も実はそっちだった。社会人になることが迎合を視野に入れないと務まらないっていうことをやっとこさ、58歳にして悟った、これは大きいですよね?ああ、そうとも、東京オリンピックはとうに超える年月だからな。しかし俺は半々だがアイツに賭けようと思ったのにはヒイキの引き倒しのような気持ちからではないんだ。それは?もちろん容子の脳裏が俺たちには見える、だからこそ、有利とはいえまいか?それはいえますね、俺たちは一度人生を終わっていわば、リメイクして来ている。一度も黄泉の国に行ったことがない人間よりも多くの視野を取得、このニッポンの行くべき進路も見えている。しかし見えてはいるが、舵を握っているのは為政者。これでは、アブハチ取らず。なぜ?こうもニッポンは正常航行を見失ったのでしょうか。それは迎合なんだよ。さっきは容子の迎合を喜んだのに?馬鹿を言え、容子の場合、人生初の迎合、しかも可愛いもんさ!それは言えますね~為政者が迎合を主軸にすればどうなる?いやいや、まだ経済界に重鎮はいます!もちろんだ、この国を沈ませるわけにはいかん。