前日、六日の夜、七時半くらいでしょうか、父の家を訪ね、手を握っても応答ないもののほんの一分くらい、目が開いてキャロルを見るという動作がありました。哀しそうな目でしたが、観念したような確かめるような眼でした。ふたりの子供の自立を観ることなく亡くなる、それが、その時が近いという覚悟の眼光をキャロルが受け止めたのは他でもありません。人間の最期のあり方ですよ・・・。一瞬思ったのは、父は本当に家族を愛したのか?いいえ、憤怒で一杯だったのでは?という懐疑ですが、亡くなってからあとの表情、確実に僕は君たちとは一線を画するぞ!!という威風堂々という大往生のお顔。どこかで安心したのです。自宅で天命をまっとうしたんだな・・・子供たちはどうあれ、一冊の研究ノート、本を遺した。やっぱり、ご著書って凄いんだなあって、改めて、上梓2文字の脅威に唖然となっていた・・・。凝縮されたあの本の中で父は浄土思想家でした。そういう標榜を長女キャロルから送りましょうね。