ルビー・ウーマン《ジーニアース編》〔69〕こういうウサギ小屋のようなアパート生活でしたが、嬉しいこともありました。近くに映画館があって、土曜日とか日曜日は決まって映画鑑賞に行くのは美味でした。しかし、キャロルはある映画を観て、その衝撃が大き過ぎたのでしょう。映画館に行くというときは、知恵熱を出すようになる。どういう内容か?というと運転手が誤ってハンドルを切り損ねて、バスが谷底に転落。助かるのは助かるけど、ぐるぐる巻きになった、包帯の中から目を開けてしゃべるんです。教育ママの母の恐ろしさとはまた別の怖さでした。バスが転落することもあるのだなあ・・・それと人間というのは運転手というものには責任があるという発見でした。この映画を皮切りに戦争映画も多く観ますが知恵熱はどんどん上がり戦争映像を初めて見たときですよね?自分に全く関係がないとは思えなかった。そして花火の音すら、砲弾の音に、しかも海へ落とされる砲撃に聞こえたのはなんらかの記憶の遺伝子があったからだろうと。父は確かに海を渡り台湾へ行き、前を行く輸送船は沈没。どんなに怖かったでしょう。もしもタヤが横須賀まで談判に行かないなら父は激戦地へ送られたのでは?それにもうひとつ、ご加護はあったかもしれない。現に教職に就いていた。戦後の教育に思いを馳せる余力はなかった陸海軍でしたが、父を教育が守り抜いたとキャロルはそう感謝しています。今の今まで気が付かなかったことに今朝、やっとこさ気が付いたと言っても過言ではないでしょう。だって復員してすぐ日見小学校勤務、定年時は日見中学校、日の目をすでに父は見ているんですよね♪