チビ太が、おでんを落とす位に、佐賀人が凄い。この倹約の思想は、前、言ってたけど、触りだけだったから、話しておこうね。山奥の麦わら拭きの家。宿七さんの故郷だ。富士町、標高何百メートルの見るからに吹き飛びそうな、平屋一戸。そこに母はいなくって、父と六人の女三人、男三人の兄弟達。寄り添うように重なって寝るんだ。犬も二匹。そして・・・お客さんが来るって時が、宿七さんへの償還命令。父の名前は源作。その名のごとく厳父だった。滋〔しげる〕行って来い!ってなわけ。鶏小屋行って、殺して、皮を剥いで、十等分・・・。え?しげるってのは、宿七さん。まだ、小学校四年なんだよ。それなのに、鶏を殺さなきゃあならない。父は、農協に勤める、真面目人間、この父の命令に添えないってことは、家をたたき出されるってこと。宿七さんが、小屋に行くと、鶏たちが、もうわかってたんだね、全員、カナキリ声あげて、逃げようってするんだって。その中から、一羽を選ばなくちゃいけない。この時、まだ、四年生なんだよ。みんな、その後の、手順は聞かなくても、わかるよね。水炊きにして、客たちも一緒に、鍋を囲んだんだ。これくらい、クリアー出来なくちゃ、銀行員は難しいかもよ。キャロなら、家飛び出して、派出所で保護されてたかも。今だって、一億積まれても、首を、はねるなんて、無理。だから、神様が、キャロに目をつけたのかもしれない・・・。