サファイア・マンs207 子供を産んでまず、家に初登庁すると、玄関にシクラメンが置いてあります。深紅のそれ。私には想像力が起こってこれは父が購入に違いない!!って。短歌を詠む妹がいたことで、影響を受けたのか、父は花をこよなく愛したのです。稲の花にも詳しくて、あれはチャンスを逃すと中々お目には掛かれないって。父は奮発して大きな鉢を選んで私を讃えてくれているんだな!!はすぐにも分かったのです。この感動はどう短歌に表せばいいのか?ありがとうで発句の短歌ではない。どう見ても、これは出産はもうこれで御終いにしなさいよね?これで貴女は五人の子供の母親なんですよ、しかしながらその功労に対して僕からこれを贈りましょう。奮発しました、シクラメンの深紅。僕の選んだゴージャスな鉢は、子育ての華やかな部位の裏にある辛苦にも触れていて、子供がこうして増えるたびに嬉しいことは重なるようで、実は貴女の体にはその度、劣化が生じて行く。自分を大事にして花を愛でる心、心に余裕のある女性らしさを持って夫に仕えて行くんですよ?って。私は父の心を即座に透視してある意味萎える。あああ、こんなに父は心を砕いてくれて、しかも今回の出産を労ってくれているのに、仕えなさい??ここで生じたジレンマをその後、長い間、包括していくことになるのです。