イエローダイヤ・マン《標榜編》〔599〕僕は本当にピーパー・ウーマンを超えたのだろうか。皆がそれを言う時に不自然な気持ちになるし一過性のものでは?と実はピーパーの脅威を最初から知っていただけに、僕のトップバッター起用には今でも慎重だ。しかしよくよく鑑みてすぐさま最新として出るのはピーパーで、僕の心配も杞憂かもしれず、それを知りつつ僕を持ち上げているかも?そう思うと楽チンな気持ちになっていく。僕がいつも先頭を嫌うのはスピード違反の検挙にあってからだ。僕が先頭で捕まった。登りの道で、なんで五十三キロ出して捕まるかって友達のみんなに言われたが僕が悪いのは全く動かない。ただ、僕の後をずっと来ていた車群がお縄にならなかったことで、先頭嫌悪の姿勢は固まった。なぜ、同じように走ってきてしかも僕の場合軽なのだ。出せる力も限られていてこんな不遇に......って。しかし口には出して言わない。誰もが幾つか人生での不遇を言わず隠し持っている。僕の場合は言うことで発散しているし、みんなが先頭は確かに嫌だよね?って少しでも同情してくれたら、したためた苦労も報われる。緩やかな登りの坂道でしかも十三キロオーバーで捕まったあの時の境遇以上の難局を僕はまだ人生で経験がない。そっちの方が実は怖いことなのかもしれない。