イエローダイヤ・マン《標榜編》〔593〕ドリームイッツポッシブルという楽曲がいつでもお構いなく鳴り始めて困っている。僕がすまほ設定したのではない。電源を消していても真夜中流れて来る。起きるのが面倒でそのままにしていることもあって、なんでこんな設定もしていない楽曲流れているか不思議っていうか訳を知りたい。何回か曲を止めようと操作もしてみたが、何しろその曲を歌うシンガーが僕と同年代の女性かも?って思って戸惑う。良心の呵責が芽生えてくる。うるさい楽曲ではないし、聞いているうち、心も柔軟になってくるいい曲だが、真剣な商談している最中に突然では困る。きっと僕の心に音楽が無かった分、その曲が浸透をし始め、いい兆候ではあるのだろう。僕はこの手のシンガーが実は好きだ。選曲はもしかして誰かがしてくれているのならそれは成功だったと言わねばならない。ドリームイッツポッシブルは僕がきっと羽根を付ける役割を果たしたのかもしれない。そう思えばすべてが納得出来る。声の自然な高揚が素晴らしくて、しかもサビが優れている。音楽のことはよく分からない。ただ、一年間だけオルガン教室に通った。六歳の時だった。この時の経験がもしも無かったなら、今回のいきなり選曲を僕自身が不快に思ったかもしれない。たった一年が効を奏したのだ。