サファイア・マン《かけがいのない男編》〔188〕この借金が奇麗に無くなったら私は私で、能率的な金銭の使い方に身を徹しようと心に念じはするんですが、やはり、どうしても手元に置いておきたいカードが存在していて、女性の性〔さが〕のようなものかもしれません。私の手元に置いて置きたかったカードは数枚あって、その中に大丸のミズクラブカードがありました。何でそのカードに愛着があったかというと、カードで購入したアメリカンショートヘアが事故で亡くなってしまったからです。かといって、こちらの不注意ですから、何かペットショップに質問したりはしません。それが過失だとはっきり理解していたことがあったのです。もしも本当に賢い主婦なら、この機会を逃さずに全部のカードをゼロにしていたでしょう。ようちゃんがまだ、真剣に負債について究極まで追い込まれていなかった証明のように、甘えと知りつつ数枚のカードを内緒で持ったのです。そして残りを洗いざらい返済して、何も表面的には問題はないかに見えていました。しかしそれと共に、質屋の負債も抱えていたゆえに、真相をたぐれば、伯母にとっても父にとっても伴侶にとっても意にそぐわない内容になっていました。ようちゃんはお腹にいる子供を隠し玉にしようなどと思っていません。むしろ転勤して落ち付いた頃、家族に打ち明けようと楽しみにしていたのです。