ルビー・ウーマン《ロイヤル・ボックス編》〔244〕弟の二年生への進学も難しいという深刻な状況にあって、父が即断した市会議員選挙立候補は、誰も耳を貸さないと言うくらいの険悪なムードで、親戚中の誰もが応援なんて出来ないを、すぐさま言って来る。しかし父は粘り強くそれらの悲運を撥ね退けるべく奔走していました。準備したのが三か月切っていましたから、どんなに現場がゴタゴタしていたか想像つくでしょう。私は四面楚歌の父を見て、これは!!と内心思う処があったのです。ここで点数を稼いでおけばきっと将来、父が、あの時はありがとう!!って言って自分の苦境を救ってくれる。そういう予感が渦を巻いていたのです。だから、誰からも冷たくあしらわれていようとも、別段、心配などしていなかったのです。誰よりも嫌悪したのは母で、もちろん弟も嫌がっていました。そういう目立つことをこんな大変な時にやらなくともいいじゃないか??っていう強い憤りはあったようで、弟の身を案じてはいる私でしたが、父のことは、分けて捉えるべきだ!!との観点にあったのです。どんな結果でも飲み込む意地でいる父のことです。惨敗しても、その残骸を拾うことによって、また新しい人生を切り開くだろうから!!って、深刻には捉えてはいなかったのです。