エメラルド・ウーマン《深窓の令嬢ダブリュー編》〔72〕寝湯があるスペースにいってそこを陣取ります。寝湯こそが一番好きなスタイルのお風呂でそれがあったことで里子の溜飲が下がっていくのが感じ取れます。中々そこまでは分からない。中の様子までを仔細に調べ上げてお邪魔することは滅多に無くてそれというのもそこで意外な発見に導かれる脳内経路が嬉しいからです。期待しないでもあった....とか予想外にも用意してあった...こういった趣きこそが里子の心を芳醇にするもので、前を見ると別府の湯という湯槽が見えて心も弾んできます。空にはヘリコプターが飛んでいて、里子の心は子供のように朗らかに活発になります。音が気になりはするものの、ここでは全員が裸身。自分だけが慌てふためく方がおかしいのです。里子は九州に帰郷した気分になっています。埼玉県で別府の湯に浸かれる幸せは言葉にならない埼玉感を醸し出して来て、私は才のある玉であるべきだ!!とそう自分に畳みかけます。埼玉の、さいたまは、才玉と自分の中で漢字を割り振ったのです。そうすることで、他者との違いを鮮明に出そうとしている自分のおかしみに笑ってしまいます。前にいる人々は常連のようで屈託のない言葉で話しています。私はストレンジャー!!それもひとつの個性で強みであることがおもばゆいのです。