イエローダイヤ・マン《標榜編》〔499〕俺は喜んで転勤を受け容れ、自分の棲み慣れた住居を整理しながらこの街の匂いを深呼吸して吸い込む。名残惜しくて、もっとずっといたい!!っていう気持ちよりもむしろ、あと五年くらい後にここを訪ねてみたい!!っていう再来の気持ちが頭を占めることに戸惑う。俺がレンタル車を納めたのも今度は自分の普通自動車を購入したい気持ちが相当分あるからで、一方では世界中を飛び回っていたい!!とする俺の気持ちのどっちが本物なのか?自分でもわからないままなのだ。はっきり言おう。どっちも正解なのだ。俺はハゲがなぜここまで特別視されて愛される語彙まで昇り詰めて来たかがやっとこさ、解った。信じられない快挙だと俺も思う。人を束ねる力はないが俺に語彙力や感応力がこうして満載だったことが手放しで嬉しい。ハゲがなぜ愛され、しかもケチが付かなかったかは、激しいっていう言葉が支えたのだと思う。だからデブもこういった形容詞を見つければ御の字だということだ。俺達の時代にはそういった部位にまで気が付き、クエスチョンマークで献上してくれるオピニオンリーダーが不在だったけれど、例えばこれからが俄然変って来る!!との自信のもとに俺達はいていいと思う。どの民族にも負けない見劣りのしない文化を持っているということは言葉の頂きに立っていることと同位なのである。