エメラルド・ウーマン《深窓の令嬢ダブリュー編》〔68〕新越谷駅を目の前にするこのネカフェのいい点は雑居ビルのような昔ながらの風情を残していたことで、だんご屋さんもお隣にあったのです。里子はぎりぎりの生活に自分を置いてみて、果たしてどれくらいの日銭で生活出来るか、その限界を探ろうとしていたのです。一日一食にして、夕御飯だけにお金を使い、あとは備蓄のパンとドリンクで凌ぐのが最もいいチャレンジということも分かってきます。ローソン100が少し歩いた場所にあって、そこで400円だけ使い夕飯を購入し毎日を過ごそうと張り切っていたものの、段々とイライラが降り積もって来るのです。発泡酒ビールをいきなり購入して、飲んだくれの気持ちになって将来を修正します。やはり一日千円があれば何とか生きていけそうで、このネカフェの居心地の良さにも心が温まります。里子は、鍵付きの部屋に移動したことで、もうそれ以下のランクでは不十分なことがおいおい解って来る。そうすればこういう計算も成り立つ。月に十万円は必要だ!!という見積もりで、住居に六万くらい、食費に三万くらい、あとの一万が予備費になるのです。しかし余生を見渡すと途端に怖くなってきます。一生ネカフェで暮らす勇気はまだなかったのです。