イエローダイヤ・マン《標榜編》〔466〕圧巻の演技で観客を魅了したネイサン・チェン選手のフリーの演技が最高得点を叩き出していたことを俺は後から知る。この選手に温存してあった巻き返す力に脱帽するのだが、実力は確実に持っていたんだなあって、後から思い出すのは彼のハート型で、人指し指と親指を使って観客にアピールしてきて、ハートのマークに弱い俺はある物語を思い出す。おもちゃの兵隊という童話で、最初の家にどういうわけか、戻ってくる、兵隊のおもちゃの物語なのだが、こうまで、暗示的な童話はかつてなく、それが最後燃えてハートの形をしているのだ。この物語のように、そしてネイサン・チェン選手の今回の燃え尽き方のように、勝負には常に波が関与していて、その波に上手く乗れた場合とそうではなかった差異に改めて修復の手を加えたくなる。彼にあったのはそれ相当の実力で、それでも、勝利を手にすることが出来なかったとすると原因はなんだったのだろう。そんな時は誰にもあるのさ!!と俺は悠長に論じたくはない。勝利の女神が彼を追いてきぼりにしなかったのを証明したシーンこそがフリー演技最高得点獲得だろう。そして俺は松岡修造を見直す。フェルナンデス選手に流暢な英語でインタビューしていたのだ。こういうハイソサエティ日本男子がこの国を底上げしていくのだ。