アクアマリン・マン《真春と真秋の間編》〔14〕俺は探偵事務所で母の半生を聞き驚愕する。なんと母は今カウンター占いをしている。そこが意外過ぎて俺の心がシックになる。収入は年に百万円もないが、こつこつと会員を増やしていて、それが四十年の実績になるのかも?と探偵も一緒に今後どうしたらいいかを懇談してくれて助かった。母は実家が持家でお金には困ってはいないものの、子供はあれから出来ず、結婚もしていない、そこがまっさらだった。性同一障害という病も抱えて、出来るなら女と結婚したかったという。それを聞きながら俺は自分がそれを、人ごととして拝聴している事実の大きさに戦く。母に会いたい気持ちはあるが、その店構えがちょっと怖い。まるで、幽霊酒場のようで、カウンターがあって、ボックスがひとつ。堀炬燵にしてあって、そこでは四人くらいが座れる。実際入って中で客の振りをして、探偵が色々調べた結果母の素性はクリア出来た。来年七十歳。年金もある。どこで幸せを奪取しているか?そこがメーンだったが、占い師になって顧客を得るなど予想外だ。何を占いに顧客は来ているのだろう。フツーにカラオケもあって、小銭を積んで歌わせる。俺も自分を開示せず、一回立ち寄ってみたい気持ち、それを禁じえなかった。