エメラルド・ウーマン《深窓の令嬢ダブリュー編》〔62〕どこへお邪魔してもアルバイト情報ばかりが自分の中で炸裂してしまうのも、やはり待遇悪化が企業内にくすぶるからで、特に日本の地場企業ではないことで心配は倍増しになっていたのです。日本生命や第一なら強いでしょうが里子は外資系だった。どんな事件でも衰退に繋がっていくし、そこでいかにキャリアがあってもダメな時も往々にしてある。渚はすでに会社を辞めてレストラン業に転身し、美しい身のこなしを生かして、レストラン厨房のみならずフロアでも生彩を放っていたのです。人の転身は絶対に人ごとではなく渚の嗅覚がそれを選ばせたと判断すべきでしょう。年金を貰える年代になるまでにあと二十年あり、掛け金を支払う義務はあと十年あったのです。そんなに二十五年に拘ることはないさ!!十年ものでも貰えるようになってるから?って簡単にセリフを交わしている同僚もいるにはいました。しかし里子には原資があったのです。教育方面で自分の才能が活かせるのでは?と。鮨屋の横には立ち食いそば屋があって、自分も初に立ち食いに挑戦しようと張り切るものの、又そこでも求人があっていて、その電話番号を登録してしまう自分がいるのです。