エメラルド・ウーマン《深窓の令嬢ダブリュー編》〔61〕この界隈が気に入って、ミスドにもお邪魔します。南越谷駅の裏側にあって、そこで紅茶を頼むのです。こうして朝日を燦々と浴びながら、好きなドーナツを二個チョイスしての朝食。いつもはネカフェ一階にあるすき家の一番安い朝食で済ませるのですが、このミスタードーナッツがどうしても外せず、ここも求人していたからで、自分がもはや若くはないものの、もしも生命保険会社をクビになったら?が常に点灯していて、そういった在宅勤務パソコン就労の用途もいずれ無くなっていくのでは?が里子の脳裏をシビアにしていたのです。煙草を吸わないのにわざと煙草を吸うエリアに分け入ってカウンターを陣取るのです。何回もここはコーヒーのお代りをくれて、大層なそのサービス精神にたまがったいた里子でしたがそれが紅茶ポットになったらどうなる??って興味しんしんだったのです。紅茶ポットが空になるとこれにお湯を足してくれない?とウェイトレスに注文。自分でも恐ろしい中年のオバサンになってしまったなあって。しかしよく見ると彼女は自分よりも年を食っている。この時にはまだ、イギリスの著作家による人生百年の時代は日本に紹介されていないものの、その前兆のようなものは錯乱していたのです。