ピーパー・ウーマン《ジュエリー・ボックス編》〔63〕規律正しい商売人の家で育った私は、二階にいる使用人に育児され、その使用人も輪を掛けたように律儀。中々自由なことにはならないの。っというと?夢の区域を赤ちゃんであっても区別出来るようになってもう寝返りも出来るよ?ってことが解っても重たい布団を上から被っていて撥ね退けることが出来ない窮屈な状態にいた。へー、そんなに小さくても夢が見れるんですね?俺が真っ先に見た夢は怪獣から追い駆けられる夢。それも年長になってからだ。個人差あるからね。私は使用人の律儀さにこの国の根底を見たように思った。どういう?とても丁寧なんだけど有難迷惑?考えられないことですね?俺にはよくそこが飲み込めない。幼い時に静かな部屋でほぼ朝の八時から夜の八時まで寝かせられたら、脳に悪いどころか独特の変化が見られる、音に敏感になるの、そしてそれが音感教育の走りになる。音に敏感?言葉には?ええ、使用人のひとり言ならすぐに理解が出来た。ここにも長調短調が存在することに気が付く。なぜ、そこまで慎重に育てたんだろう?姉を病で亡くしたことが大きかった。あああ、それだったら理解出来ます。