アクアマリン・マン《真春と真秋の間編》〔5〕女性の二面性を俺は早くに気付ける位置にいて、嫁が正しくその様相を呈している。微笑むときの美しさはなんにも例えられず、その神々しい表情とは裏腹に、鬼がわらの面相で俺をとことん宙吊りにせんばかりに痛めつける。責任転嫁まではいかないが俺の生活行状をこてんこてんに追及し、コンビニのバイトなら行けるだろ??と長い長い説教を食らった。彼女の頭に去来し常に言葉の先頭にあったのは父親の働く姿でそれを全く見せてはいない!?というものでしかし職場もないのに家を出て時間潰すことも出来ずに俺は苦悶した。煙草吸う量も増えて俺は一時期ノイローゼ状態に陥る。嫁と話しないで済むように納戸の荷物を整理して自分の寝床こしらえる有様だった。嫁がどうしても出ないといけなくて保育園が休みの時、息子と触れ合うチャンスだったものの、その唯一の至福のひと時もいつかあえなく奪われる。時間外保育の契約を結び、どこぞ民間保育園に連れて行かれる息子。俺には全く言論の余地さえなかった。しかしそれも自分自身の怠惰が招いたこと...。そういう正常認識が取れるようになったのも収入が生まれた時点だったのだ。