イエローダイヤ・マン《標榜編》〔392〕俺がこれだけは後世に伝えておかないと、俺達は永遠に歴史そのものに封印されてしまうぞ!!と震撼した番組があった。京都の上空をカメラを付けたドローンで通過していると周りを森に包まれた神殿のようなものが見えて、一体それが何なのか、興味しんしんでテレビの画面を見守る。これは昭和四年から十九年前まで鉄道が通っていて、てっぺんにスキー場やレストランがあって賑わいを見せていたという。しかし見事に崩れ堕ちて、なんでこういう廃墟になってしまったのか?そこが俺の脳をむさぼり喰う。なんとそのレールは戦時中、武器を作るために献上することになったというのだ。どうりで、線路のあったような土の感触が画面からも見て獲れた。なぜ、京都のこんな山奥の駅が狙われたかわからない。しかし舞鶴、呉、横須賀、そして佐世保、この四つの海軍施設の中の舞鶴があったことを思えばなるほどなあと深い悲しみに俺は陥る。しかもこの駅の名前がケーブルというのだ。こんなカタカナで斬新な駅の名前を誰が考え出したのだろう。開戦日が近いからこそ俺はおのずと慎重になってしまうのだ。