サファイア・マン《かけがいのない男編》〔161〕彼がようちゃんの父から懇願されたことが認知のみなら、彼は逆によく健闘している方だし、ようちゃんがすぐにも会社に届けてくれる!と安易に捉え喜びにむせんだ...とするなら勘違いもいいとこ。ぬか喜びになったことがくやしくて切なくて、頑張って子供を産んだことさえ悔やまれて...。しかしお互いがお互いの本心をよもや訊き忘れていたなど世間一般にもよくある話でしょう。ようちゃんは照準を彼ひとりに設定することは避けて、子育てや世の中をもう一度この目で見ようではないか?を募らせます。彼の好きなマージャンも好きなようにやらせて自由に泳がせてその自由の釣り堀に彼を一旦入れることを決めます。家のことは世間一般でいうクレームが出ない位に持って行き、自分は自分の眼光を磨く動作に出たのです。子供たちの言葉も重要ですが、それだけでは経験値は伸びません。彼特有の気質やカリスマはもう十分見せてもらったし、灰汁が強いその性質に嫌気も射していた頃。ようちゃんは再び、近所のホールに堂々とベビーカーを押して入店するのです。