イエローダイヤ・マン《標榜編》〔336〕俺は軽い気持ちでの二十代の半ば頃、折伏というものを受けた。そのことは両親も知らないし、その友人が熱心に口説いてくれてそれにとうとう堕ちたというものではなくあくまでも教義だった。俺にはその教義が万全のものに思えたし、しばらくはその友人に引率されて座談会などにも出席したが疎遠になってしまった。海外に赴任して行ったからだ。いつもエネルギッシュで、悩みの名の字に鋭くて俺が弁当屋のアルバイトで苦戦しているときにも、期日前投票に連れ出してくれて俺はそこで自分の本当にやりたいことをざっくばらんに話したものだった。その友人には、特別の才があったのだろう。選挙は福運をゲットするチャンス!!と選挙のときはまるで別人のように目が爛々としていた。彼の言ったことに嘘はなかったなあって、俺が感嘆したのは、いつでも話を聴いてくれる友人は大物だ・・・と彼が言っていたことが本当なのを見てしまった。その人物の名前は・・・上の方に確かに輝くのだ。彼は異国でどんな選挙運動をしているのだろう。折伏を彼から受けた俺の運命は、実は彼の手の平の上にあるのでは?と。そこを思うと俺は幸せな気分になってナムミョウホウレンゲッキョウと呟くのだった。