サファイア・マン《緻密な男編》〔151〕今になって思うのは伯母は決して意地悪をしたくてキャロルを叱っていたのではなく本当にどんな成り行きになるかをわかっていて話していただけ・・・。そこが身に沁みるんです。昔の人々っていうか明治の母親に育てられた者の手堅さで、父の話しぶりから要所要所を引き当てていたんですね。例えば銀行に生まれたばかりの子供の足型を持っていき見せたら、そこで了承を得られた・・・といった話です。そういう場所で銀行の応接室でそういうモノを持って行き泣く父も父ですが、伯母はその話に感動した!!というのです。江戸っ子だ!!とはっきり思ったというのです。事実が提示されそこでガタガタいわず、わかりました!!きっとその旦那は悪い男ではない。普通なら後からどこぞで会いましょう、またその時に・・・って出直しを言い渡されるって。私の責任に於いてきちんとします!!って言ったのなら容子ちゃんは間違いなく今度はモノになる!!って。自分の得た幸せにも気がつかず往生際も悪かったんでしょう。キャロルにはこれが幸せ・・・とはまだ気が付けないでいたんです。