サファイア・マン《かけがいのない男編》〔149〕日常的に彼に干される状態でもキャロルはこう祈念します。この結婚の綱領についてです。まず彼を支店長にすること、しかしよくよく鑑みてもこれは銀行が決めることです。どんなにあがいても自分はイチミリも寄与出来ない?そこで思うのは自然の法則です。間違えないようにね?じねんではなくここではし・ぜ・ん。彼は独身でいても支店長にはなれた位置にあったのにそこまで悩める状態に据え置かれていたのは上司のこの言葉にあるのです。独身では中々支店長には抜擢されにくいんだよねえ。その時にやはり家庭を持った行員達には信頼という星がひとつ加算なことに慄く。しかし四十歳を過ぎた頃から彼は結婚自体を高値の花じゃないのか?って諦めを付ける。無理して結婚することに何の意義が?と疑問符も点灯していたんだと思うんです。顧客の資産を預かるバンカーが列記とした家庭を築いているのと、そうでないのとは?雲泥の差違も生じていたことに彼は憂いと発奮を禁じ得なかった・・・。そこを思うと彼には彼のさい量が働いていたこともおのずと明瞭になるのです。グランドセイコーの大谷投手を見ながらキャロルはやっと彼に最初にプレゼントした時計を思い出すのです。