エメラルド・ウーマン《深窓の令嬢ダブリュー編》〔41〕川柳の中でも時代を詠んだものは、時代のすう勢が変るごとに意味自体が後世にわかりにくくなる一点が興味深くて、それでも時代川柳へ突進していく構えが顕著に起こったのも、恐らくカテゴリ志向が旺盛だったからで、この世に様々な人々が生きていることに棲み分けがあることに興味しんしんだったのです。例えば何を失って最も落ち込むか?に現われていて、恋人・・・と答える人々はやはりその時点で恋をしているし、子供と答える人は子供に没頭している人・・・そこで里子には最初に仕事ランクが出て来て恐ろしかったんです。ライバルとの葛藤にこれまで生きて来た里子は最近ぶしつけなことをやらかしていました。出張先、しかも偶然、街中から入り込んだ路地裏のオリジンで同僚年下にばったり会うのです。十年も前に同じ支部にいた同僚で七歳下。覚えてない振りで女性を無視したのです。自分の周囲を整理整頓しなければならないことは自明でした。この業界はそういう無味無臭の人材かなり多い。そこをマトモに付き合っていてはカモにされるだけ。ある意味非情な現場だったのです。